電気工事士 資格の難易度を徹底解説!合格率・勉強時間・一種と二種の違いは?
「電気工事士の資格って、どれくらい難しいの?」
「合格率は高いって聞いたけど、本当に独学で受かるのかな…」
「一種と二種、どっちから取ればいいか全然わからない」
こんな悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。電気工事士は国家資格の中でも知名度が高く、取得を検討している方が増えています。しかし、筆記試験と技能試験の2段階があり、一種・二種の違いも含めると、どこから手をつければよいか迷ってしまうのも無理はありません。
私は外資系企業で総務を15年以上担当し、認定ファシリティマネジャーとしてビル設備の管理・発注を数多く手がけてきました。そして実際に第二種電気工事士を自ら取得しており、試験対策から実務上の価値まで肌で知っています。この記事では、電気工事士資格の難易度・合格率・必要な勉強時間・一種と二種の違いを、データと実体験をもとに徹底解説します。読み終えるころには、自分がどのように学習を進めるべきかが明確になるはずです。
電気工事士とは?資格の概要と一種・二種の違い
まず、電気工事士という資格の全体像をつかんでおきましょう。何のための資格なのか、誰が取るべきなのかを理解することが、学習モチベーションの維持にもつながります。
電気工事士とはどんな資格か
電気工事士は、電気工事士法に基づく国家資格です。住宅・ビル・工場などの電気設備の工事を行うために必要な資格であり、資格なしに電気工事を行うことは法律で禁止されています。電気事故は火災や感電死につながる危険があるため、有資格者のみが施工できる仕組みになっています。
主な工事内容としては、屋内配線工事・コンセント設置・分電盤工事・照明設備工事などが挙げられます。総務・設備管理の立場からいえば、業者への発注時に図面や仕様を正しく理解するうえでも、この資格の知識は非常に役立ちます。
第一種と第二種の違い
電気工事士には「第一種」と「第二種」の2種類があります。大きな違いは工事できる範囲です。
| 項目 | 第二種電気工事士 | 第一種電気工事士 |
|---|---|---|
| 工事できる範囲 | 一般住宅・小規模店舗(600V以下) | 最大電力500kW未満の工場・ビルなど |
| 受験資格 | なし(誰でも受験可能) | なし(ただし免状交付に実務経験が必要) |
| 試験の難易度 | 普通〜やや易しい | 普通〜やや難しい |
| 免状交付条件 | 合格のみ | 合格+3年以上の実務経験 |
| 年収目安 | 350〜450万円 | 450〜600万円以上 |
第二種は住宅・小規模店舗に限定されますが、第一種はビルや工場など大規模施設の電気工事も担当できます。ステップアップを目指すなら、まず第二種を取得してから第一種を目指す流れが一般的です。
こんな人に取得をおすすめしたい
電気工事士の取得をとくにおすすめしたいのは、以下のような方々です。
- 電気工事会社・設備管理会社への就職・転職を目指している方
- ビルメンテナンス(ビルメン)業界でキャリアを積みたい方
- 総務・施設管理担当として電気設備の知識を深めたい方
- 将来的に独立・開業を考えている方
- DIYで自宅の電気工事を合法的に行いたい方
第二種電気工事士の難易度と合格率
第二種電気工事士は、国家資格の中では比較的取得しやすい部類に入ります。ただし、筆記と技能の2段階試験があるため、それぞれに対策が必要です。
近年の合格率データ
一般財団法人電気技術者試験センターが公表しているデータをもとに、近年の合格率を見てみましょう。
| 年度 | 筆記試験 合格率 | 技能試験 合格率 | 最終合格率(概算) |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 64.0% | 72.1% | 約46% |
| 2021年 | 58.3% | 70.3% | 約41% |
| 2022年 | 60.0% | 72.0% | 約43% |
| 2023年 | 62.1% | 71.0% | 約44% |
筆記試験の合格率は約58〜65%、技能試験は約70〜73%と比較的高めです。ただし最終合格率(筆記から技能まで通過)は40〜46%程度となり、2人に1人は落ちる計算になります。「簡単」と油断するのは禁物です。
難易度の実感と他資格との比較
私自身が第二種電気工事士を受験したとき、筆記試験は「しっかり勉強すれば確実に受かる」レベルだと感じました。計算問題は苦手な方もいますが、公式の暗記と過去問練習で対応できます。
他の国家資格と比較すると、電験三種(電気主任技術者)や宅建よりは難易度が低く、危険物取扱者乙種4類と同等〜やや難しいイメージです。「国家資格の入門」として最適なポジションにある資格といえます。
技能試験が最大の関門
多くの受験者が「筆記よりも技能試験のほうが難しかった」と口をそろえます。技能試験は13の候補問題から1題が出題され、制限時間40分で実際に電気回路を組み立てます。合格のポイントは以下のとおりです。
- 13候補問題をすべて繰り返し練習する
- リングスリーブのサイズや差込形コネクタの正しい使い方を体で覚える
- 欠陥(重大欠陥・軽欠陥)の基準を把握し、確認クセをつける
- 時間配分を意識し、本番と同じ時間で練習する
第一種電気工事士の難易度と合格率
第一種電気工事士は、第二種よりも難易度が上がります。試験内容・受験資格・免状交付条件など、第二種との違いをしっかり把握しておきましょう。
第一種の合格率と試験内容
第一種の筆記試験合格率は例年40〜50%前後で、第二種に比べて10〜20ポイント低くなっています。技能試験の合格率は60〜65%程度です。
| 年度 | 筆記試験 合格率 | 技能試験 合格率 |
|---|---|---|
| 2020年 | 38.1% | 64.1% |
| 2021年 | 44.8% | 66.1% |
| 2022年 | 47.9% | 60.4% |
| 2023年 | 49.9% | 65.0% |
筆記試験では、第二種の範囲に加えて高圧・特別高圧の電気理論、鑑別問題の難易度が上がります。とくに計算問題は複雑になるため、電気理論の基礎をしっかり固めることが重要です。
免状交付には実務経験が必要
第一種電気工事士で注意したいのが、試験に合格しても免状がすぐには交付されない点です。免状の交付には、電気工事の実務経験が3年以上必要です。そのため、第一種は「試験合格→実務経験を積む→免状取得」という流れになります。
ただし、試験合格自体は実務経験がなくてもできるため、在学中や転職前に試験だけ合格しておくことは可能です。将来のビルメン・電気工事業界への転職を考えているなら、早めに試験合格だけ済ませておくのも有効な戦略です。
第一種を取るべき人はどんな人か
第一種電気工事士が必要・有利になるのは、主に以下のような場面です。
- 工場・ビル・商業施設などの大規模施設の電気工事を担当したい方
- 電気工事会社で主任技術者を目指す方
- 電験三種(電気主任技術者)の取得を将来的に見据えている方
- 給与・キャリアアップに直結させたい方
電気工事士に必要な勉強時間の目安
「どのくらい勉強すれば合格できるのか」は、多くの受験者が気になるポイントです。目安の勉強時間と、効率的なスケジュールの立て方を解説します。
第二種の勉強時間:100〜150時間
第二種電気工事士の合格に必要な勉強時間は、一般的に100〜150時間とされています。内訳の目安は以下のとおりです。
- 筆記試験対策:60〜80時間(テキスト精読+過去問10年分)
- 技能試験対策:40〜70時間(候補問題13問を各2〜3回練習)
1日1〜2時間の学習ペースであれば、2〜3ヶ月で筆記試験に合格できる実力がつきます。技能試験は筆記合格後に集中して練習できるため、短期間でも十分対応可能です。私自身は平日30分・土日2時間ほどのペースで約3ヶ月間勉強し、一発合格できました。
第一種の勉強時間:200〜300時間
第一種電気工事士は、第二種取得者であっても追加で200〜300時間程度の学習が必要です。第二種の知識を土台にしつつ、高圧・特別高圧の範囲と計算問題の強化が中心になります。
- 筆記試験対策:120〜180時間
- 技能試験対策:80〜120時間
第二種未取得の状態から第一種を目指す場合、第二種の知識も同時に身につける必要があるため、合計300〜400時間を見込んでおくと安心です。
効率的な学習スケジュールの組み方
電気工事士の試験は年に2回(上期・下期)実施されます。スケジュールを逆算して計画を立てましょう。
- 3ヶ月前〜:テキストで基礎知識のインプット(電気理論・配線図・法規)
- 2ヶ月前〜:過去問10年分を繰り返し解く(アウトプット中心)
- 筆記合格後:技能試験の候補問題を1日1問のペースで練習開始
- 技能試験1ヶ月前:苦手な候補問題を重点的に反復練習
筆記試験と技能試験の対策ポイント
電気工事士の試験は、筆記と技能で対策方法がまったく異なります。それぞれに特化した勉強法を押さえておきましょう。
筆記試験の対策:過去問が最強の武器
電気工事士の筆記試験は、過去問の使い回しが非常に多い試験です。過去10年分の問題を繰り返し解くことが、最も効率的な合格戦略です。出題範囲は以下のとおりです。
- 電気に関する基礎理論(オームの法則・合成抵抗など)
- 配線図の読み方(単線図・複線図)
- 電気工事の施工方法
- 電気機器・材料・工具の名称と用途(鑑別問題)
- 電気工事士法・電気設備技術基準など法規
苦手になりやすい計算問題は、公式を5〜6個覚えれば対応できます。捨て問にせず、基本的な計算は確実に得点できるようにしましょう。おすすめの教材は「ぜんぶ絵で見て覚える第二種電気工事士筆記試験すい〜っと合格」シリーズです。
技能試験の対策:反復練習と欠陥管理が命
技能試験は実技であるため、「知識」だけでなく「手の動き」を体に染み込ませることが重要です。
- 候補問題13問を最低2周(できれば3周)練習する
- 電線の切断・剥き・接続を正確かつ素早く行えるよう繰り返す
- 重大欠陥(接続ミス・極性間違いなど)は一発不合格のため絶対回避
- 制限時間40分のうち、35分以内で完成させる練習をする
- 本番直前に全問題を通して仕上げる総仕上げ練習を行う
技能試験用の練習キットは各メーカーから販売されています。候補問題の材料がセットになっているため、個別に部材を揃える手間がなく効率的です。ホーザン(HOZAN)の工具セットと組み合わせて使う受験者が多いです。
独学 vs 通信講座、どちらが向いているか
電気工事士は独学でも十分合格できる資格です。ただし、通信講座(SAT・翔泳社アカデミーなど)はスケジュール管理や動画解説が充実しており、電気初心者や短期合格を目指す方に向いています。
- 独学向け:電気や工具の扱いに慣れている方、コストを抑えたい方、学習管理が得意な方
- 通信講座向け:電気の知識がほぼゼロの方、短期集中で合格したい方、技能試験の動画解説が欲しい方
「電気工事士はやめとけ」は本当か?実際のキャリア価値
ネット上では「電気工事士はやめとけ」「きつい・汚い・危険の3K仕事」という声も見かけます。しかし、これは実態の一面だけを切り取った見方です。実際の就職・転職市場での評価と、将来的なキャリア価値を正しく理解しておきましょう。
「やめとけ」と言われる理由と実態
「やめとけ」と言われる主な理由は以下のとおりです。
- 現場仕事のため、夏の暑さ・冬の寒さにさらされる
- 高所作業や狭所作業など、体力的にきつい場面がある
- 電気事故のリスクが常にある
- 工期のプレッシャーや残業が多い現場もある
これらは事実ですが、すべての現場・会社に当てはまるわけではありません。設備管理・ビルメンテナンス分野に進めば、屋内での計画的なメンテナンス業務が中心となり、体力的な負荷も大幅に減ります。
電気工事士の実際の年収と将来性
電気工事士の平均年収は、第二種取得者で350〜450万円、第一種取得者で450〜600万円以上が目安です。独立・開業した場合は年収1,000万円超のケースもあります。
電気工事士は社会インフラを支える仕事であり、AIや自動化によって仕事がなくなるリスクが極めて低い職種のひとつです。再生可能エネルギーの普及・EV充電設備の拡大・スマートビルの増加など、電気工事の需要は今後も拡大すると見られています。
総務・施設管理職にとっての電気工事士資格の価値
私が第二種電気工事士を取得して感じた最大のメリットは、電気設備の図面・仕様書が読めるようになったことです。業者への発注や現場確認で的確なコミュニケーションが取れるようになり、工事品質の向上とコスト管理にも貢献できました。
- 電気工事の見積書・仕様書を自分で精査できる
- 業者との交渉で専門知識を持って臨める
- 社内の電気設備トラブル対応が素早くできる
- ビルメン4点セット(電気工事士・危険物・消防設備士・ボイラー)の一角として評価される
二種から一種へのキャリアパス戦略
電気工事士のキャリアアップは、第二種取得を起点に段階的に進めるのが王道です。どのようなステップを踏めばよいか、具体的に解説します。
まずは第二種でベースを固める
第二種電気工事士は電気工事のベース資格です。受験資格がなく、独学でも合格しやすいため、電気工事業界への入口として最適です。第二種取得後は、実際に現場で経験を積みながら電気理論・施工の知識を深めることが重要です。
総務・施設管理の方であれば、業務の傍ら第二種を取得し、設備管理の専門性を高める資格として位置づけることができます。転職市場での評価も確実に上がります。
第二種取得後に目指すべき関連資格
第二種取得後は、以下の資格をステップアップとして検討するのがおすすめです。
- 第一種電気工事士:工事範囲を拡大し、年収・キャリアを大幅アップ
- 電験三種(電気主任技術者):高圧受変電設備の管理ができ、ビルメン最高峰の資格
- 消防設備士乙種4類:自動火災報知設備を扱え、総務・設備管理で非常に重宝される
- 認定電気工事従事者:第二種取得後に講習で取得でき、自家用電気工作物の工事が可能に
第一種取得後のキャリア展開
第一種電気工事士を取得し、3年以上の実務経験で免状を取得した後は、以下のようなキャリア展開が可能です。
- 電気工事会社の主任技術者・現場代理人として活躍
- ビルメンテナンス会社での設備管理主任
- 独立して電気工事業を開業(建設業許可取得も視野に)
- 電験三種との組み合わせでビルの電気設備管理全般を担当
電気工事士の資格は、取得後も長く価値が続く「一生モノの資格」です。年齢を重ねてからの転職・再就職でも、有資格者は引く手あまたです。
まとめ
この記事では、電気工事士資格の難易度・合格率・勉強時間・一種と二種の違いについて、データと私の実体験をもとに詳しく解説しました。重要なポイントをまとめます。
- 第二種電気工事士の筆記合格率は約60〜65%、最終合格率は約40〜46%。しっかり対策すれば独学合格できる
- 第一種電気工事士の筆記合格率は40〜50%前後と難易度が上がり、免状交付に3年以上の実務経験が必要
- 第二種の勉強時間の目安は100〜150時間、第一種は200〜300時間
- 筆記試験は過去問10年分の反復が最強の対策、技能試験は候補問題13問を体で覚えるまで繰り返す
- 「やめとけ」の声もあるが、需要は安定しており将来性は高い。AIに奪われにくい職種のひとつ
- 総務・施設管理の方にとっても、電気設備の専門知識として非常に役立つ資格
- まず第二種を取得し、実務経験を積みながら第一種・電験三種へのステップアップを目指すのが王道
電気工事士は、一度取得すれば生涯にわたってキャリアを支えてくれる資格です。「難しそう」と感じている方も、正しい対策と計画を立てれば必ず合格できます。
まずは第二種電気工事士の過去問を1回分解いてみることから始めてみてください。思ったより解ける問題が多く、合格へのイメージが具体的になるはずです。一歩踏み出した先に、確かなキャリアとスキルが待っています。
