「第二種電気工事士の合格点って、何点取れば合格なんだろう?」

「学科試験と技能試験では合格基準が違うって聞いたけど、具体的にどういうこと?」

「どのくらい勉強すれば受かるのか、目安が知りたい…」

こんな疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。第二種電気工事士は、電気工事の国家資格として非常に人気が高く、毎年多くの方が受験しています。しかし、合格基準の仕組みが他の試験と少し異なるため、「何点取れば合格か」が分かりにくいという声もよく耳にします。

私は外資系企業で総務を15年以上担当しており、第二種電気工事士の資格も実際に取得した経験があります。建物の電気設備管理を担当する中で、この資格の重要性を身をもって感じてきました。この記事では、合格基準の仕組みから合格率の推移・勉強時間の目安・合格後の手続きまで、受験者が知りたい情報をすべて網羅して解説します。この記事を読めば、合格に向けた具体的なイメージが明確になります。

第二種電気工事士の合格基準:学科試験(筆記試験)

まず、学科試験(筆記試験)の合格基準を正確に理解しておきましょう。合格ラインを把握することで、どの程度の得点を目指すべきかが明確になります。

合格点は100点満点中60点以上

第二種電気工事士の学科試験は、100点満点中60点以上で合格です。試験問題は全50問で、1問2点の配点となっています。つまり、50問中30問以上正解すれば合格できます。

試験形式はマークシート方式で、四肢択一(4つの選択肢から1つを選ぶ)の問題が出題されます。試験時間は120分(2時間)で、時間的な余裕は比較的あります。ただし、計算問題や配線図問題など難易度が高い設問もあるため、時間配分に注意が必要です。

出題される科目と問題の内訳

学科試験で出題される科目は以下のとおりです。各科目の問題数と内容を把握しておくと、学習の優先順位を立てやすくなります。

  • 電気に関する基礎理論:オームの法則・電力・電流・電圧などの基礎計算(約6問)
  • 配電理論及び配線設計:幹線・分岐回路の設計と計算(約6問)
  • 電気機器・配線器具・材料・工具:各種器具の名称・用途・使い方(約10問)
  • 電気工事の施工方法:配線工事の方法・施工条件(約12問)
  • 一般用電気工作物の検査方法:絶縁抵抗・接地抵抗の測定(約3問)
  • 配線図:単線図・複線図の読み取りと解釈(約13問)

配線図は出題数が多いうえに、技能試験との関連も深いため、重点的に学習することをおすすめします。

CBT方式と筆記方式の違い

近年、第二種電気工事士の学科試験ではCBT(Computer Based Testing)方式が導入されています。CBT方式と従来の筆記方式(ペーパー試験)の主な違いを確認しておきましょう。

  • CBT方式:パソコン画面上で解答する。受験日時・会場を自分で予約できるため、スケジュールの柔軟性が高い。
  • 筆記方式:マークシートに記入する。従来の試験形式で、全国各地の試験会場で一斉実施。

合格基準はどちらの方式でも同じく60点以上です。CBT方式では試験結果が即時表示されるため、合否をその場で確認できる点が大きなメリットです。

第二種電気工事士の合格基準:技能試験

技能試験の合格基準は、学科試験とは根本的に異なります。点数による合否ではなく、「欠陥があるかどうか」で判定されます。この仕組みを正確に理解しておくことが重要です。

欠陥がゼロであることが合格の条件

技能試験の合格基準は、欠陥が一切なく完成した作品を提出することです。1か所でも欠陥があると不合格になります。つまり、「何点取る」という発想ではなく、「完成度の高い配線作業をミスなく仕上げる」ことが求められます。

欠陥には「重大欠陥」と「軽微な欠陥」があり、重大欠陥は1か所でも即不合格です。軽微な欠陥は2か所以上あると不合格となります。代表的な欠陥の例を以下に示します。

  • 重大欠陥の例:回路の誤配線、接地線の接続ミス、ショートする状態、指定工事の未施工
  • 軽微な欠陥の例:絶縁被覆の傷(軽微なもの)、ねじ締め不足、ケーブルの寸法不足(許容範囲を超えない程度)

13候補問題から1題が出題される仕組み

技能試験では、事前に公表された13の候補問題の中から1題が当日出題されます。この仕組みが技能試験の大きな特徴です。

  • 試験前に13の候補問題すべてが公式サイトで公表される
  • 試験当日、13問の中から1問が選ばれて出題される
  • どの問題が出るかは当日まで分からないため、すべての候補問題を練習しておく必要がある

13問すべてを事前に練習できるということは、準備次第で十分に合格を狙える試験でもあります。候補問題は毎年発表されるため、最新の公式情報を確認して対策を立てましょう。

試験時間は40分:時間配分が重要

技能試験の試験時間は40分です。電気工事の素人が初めて挑戦すると、40分という時間が思いのほか短く感じられることがあります。

  • 複線図の作成:5〜7分
  • ケーブルの切断・被覆剥き:10〜15分
  • 器具への接続・組み立て:15〜20分
  • 見直し・欠陥チェック:3〜5分

上記を目安に時間配分を練習しましょう。練習を重ねることで作業スピードが上がり、見直しの時間を確保できるようになります。本番では緊張もあるため、練習時は30〜35分で完成させることを目標にするとよいでしょう。

合格率の推移と難易度分析

第二種電気工事士の合格率は年度によって多少の変動がありますが、国家資格の中では比較的取得しやすい部類に入ります。過去のデータをもとに、試験の難易度を把握しましょう。

年度別合格率の推移(学科・技能)

以下は、近年の第二種電気工事士の合格率推移です。上期・下期合算の参考値として確認してください。

年度学科試験合格率技能試験合格率
2019年度65.9%72.1%
2020年度62.1%74.1%
2021年度58.8%71.5%
2022年度60.1%71.2%
2023年度61.4%72.6%

学科試験は60%前後、技能試験は70%前後で推移しています。学科試験を突破した受験者の多くが技能試験にも合格していることが分かります。

学科試験が技能試験より難しい理由

データを見ると、学科試験よりも技能試験のほうが合格率が高いことが分かります。これにはいくつかの理由があります。

  • 技能試験は学科試験合格者のみが受験するため、ある程度の基礎知識がある受験者に絞られている
  • 候補問題が事前公表されるため、対策を立てやすい
  • 学科試験は計算問題や暗記事項が多く、知識ゼロからの習得に時間がかかる

学科試験を突破できれば、技能試験は練習量で合格をつかみにいける試験と言えます。まず学科対策に集中し、合格後に技能練習へ移行する戦略が有効です。

他の電気・設備系資格と難易度を比較

第二種電気工事士の難易度を他の電気・設備系資格と比較すると、立ち位置がよく分かります。

  • 第二種電気工事士:合格率60〜70%台。電気工事の入門資格として取り組みやすい。
  • 第一種電気工事士:合格率40〜50%台。学科の難易度が大幅に上がる。
  • 電気主任技術者(電験三種):合格率10%前後。電気系最難関資格の一つ。
  • 消防設備士乙種:合格率30〜40%台。第二種電気工事士より難しい。

電気系資格の中では比較的挑戦しやすい位置づけですが、しっかり準備しなければ合格できない試験でもあります。

合格に必要な勉強時間と学習戦略

「どのくらい勉強すれば合格できるのか」は、受験者が最も気になるポイントの一つです。学科と技能それぞれで必要な学習量と効果的な戦略を解説します。

目安は合計100〜150時間

電気の基礎知識がない状態からスタートする場合、合格に必要な勉強時間の目安は合計100〜150時間と言われています。内訳は以下のとおりです。

  • 学科試験対策:60〜100時間(基礎理論・配線図・施工方法の習得)
  • 技能試験対策:40〜60時間(候補問題13問×2〜3回の反復練習)

1日1〜2時間の学習で換算すると、学科試験まで約2〜3か月、技能試験まで追加で1〜2か月の準備期間が目安です。電気工事の実務経験がある方や、理系の知識がある方はより短期間で合格できる場合があります。

学科試験は過去問中心の学習が最も効率的

学科試験の学習では、過去問を中心とした勉強法が最も効率的です。第二種電気工事士の学科試験は出題傾向が安定しており、過去10年分の問題を繰り返し解くことで合格ラインに到達できます。

  • まずテキスト1冊で全体像を把握する(2〜3週間)
  • 過去問題集を1周し、苦手分野を把握する(3〜4週間)
  • 苦手分野を集中的に復習し、過去問を再度解く(2〜3週間)
  • 直前期は過去問の高速周回で知識を定着させる(1〜2週間)

計算問題(電力・電流・抵抗の計算)に苦手意識がある場合は、捨て問として割り切り、暗記系の問題で確実に点を取る戦略も有効です。60点合格なので、すべての問題を完璧にする必要はありません。

技能試験は練習回数が合否を左右する

技能試験は、知識よりも手を動かした練習量がダイレクトに合否に影響します。

  • 候補問題13問を最低2〜3回ずつ練習する(合計40〜60時間が目安)
  • 複線図を素早く正確に書けるようにする練習を毎日続ける
  • ケーブルの被覆剥きと器具への接続は繰り返して体に覚え込ませる
  • 本番を想定した40分タイムアタック練習を複数回行う

材料の調達については、ホームセンターで個別に購入する方法と、市販の技能試験練習用セットを購入する方法があります。練習用セットはすべての候補問題の材料がまとまっており、効率的に練習できるためおすすめです。

合格発表の確認方法と合格後の手続き

試験に合格した後は、合格の確認から免状の取得まで、いくつかの手続きが必要です。流れを事前に把握しておきましょう。

合格発表はWebと郵便で確認できる

第二種電気工事士の合格発表は、試験実施機関である一般財団法人電気技術者試験センターの公式ウェブサイトで確認できます。

  • Web発表:試験センターの公式サイト上で合格者の受験番号が一覧公開される
  • 郵便通知:合格者には合格通知書が郵送される
  • CBT方式の学科試験は、試験終了後すぐに結果が表示される

合格発表日は受験票や試験センターの公式サイトで事前に確認できます。発表日が近づいたら見逃さないよう注意しましょう。

電気工事士免状の申請手続き

技能試験に合格しただけでは、電気工事士として工事を行うことはできません。都道府県への免状申請が必要です。

  • 申請先:住所地を管轄する都道府県の担当窓口(電気工事業担当部署)
  • 申請に必要なもの:合格通知書のコピー・住民票・写真・申請書・手数料
  • 申請方法:窓口持参または郵送(都道府県によって異なる)
  • 発行までの期間:申請後おおむね1〜2か月

免状が交付されるまでは電気工事の業務を行えないため、合格後は速やかに申請手続きを進めることが重要です。

免状取得後にできることと活用場面

第二種電気工事士の免状を取得すると、一般用電気工作物(600V以下の低圧で受電する住宅・小規模事業所等)の電気工事を行えるようになります。

  • コンセント・スイッチの増設・取り替え工事
  • 照明器具の取り付けや電気配線工事
  • エアコン専用回路の新設工事
  • 分電盤の改修工事

住宅のDIYから建設・設備系の仕事まで、幅広い場面で活用できる資格です。

「電気工事士はやめとけ」は本当か?合格後のキャリア

インターネットで「電気工事士」と検索すると、「やめとけ」という言葉が候補に挙がることがあります。実際のところ、第二種電気工事士を取得した後のキャリアと将来性はどうなのでしょうか。

電気工事士の平均年収と収入の実態

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、電気工事士の平均年収は450万〜600万円程度と言われています。経験・スキル・地域・勤務形態によって幅があります。

  • 会社員(電気工事会社勤務):年収350〜500万円が一般的
  • 独立・開業:年収600万〜1,000万円以上も狙える
  • 設備管理・ビルメン:年収350〜450万円程度、安定性が高い

第二種電気工事士は、さらに上位資格(第一種電気工事士、電験三種)へのステップアップの足がかりにもなります。資格を積み重ねることで収入アップを狙える職種です。

電気工事士の需要と将来性

「やめとけ」という声がある一方で、電気工事士の需要は今後も高い水準が続くと予測されています。その理由を確認しておきましょう。

  • 再生可能エネルギーの普及:太陽光発電・蓄電池の設置工事需要が拡大している
  • EV(電気自動車)の普及:充電設備の設置工事が急増している
  • 建物の老朽化対応:既存建築物の電気設備更新工事が増加している
  • 技術者の高齢化:ベテラン電気工事士の引退に伴う人手不足が深刻化している

AI化・自動化が進む現代でも、現場で手を動かす電気工事の仕事は機械に代替されにくいという特徴があります。社会インフラを支える仕事として、長期的に安定した需要が見込まれます。

総務・ファシリティ管理での活用

私自身が実感しているのですが、総務・施設管理の仕事においても第二種電気工事士の資格は非常に役立ちます。

  • 電気工事業者への発注・監督の際に、技術的な会話が対等にできるようになる
  • 設備の不具合発生時に、原因の初期判断や応急処置ができる
  • 電気設備の法定点検・定期メンテナンスの内容を正確に把握できる
  • コスト削減交渉の場で、工事内容の妥当性を自分で判断できる

「やめとけ」という意見は、主に体力的なきつさや屋外作業の辛さを指している場合が多いです。資格の価値自体は高く、取得して損のない資格と断言できます。

まとめ

この記事では、第二種電気工事士の合格基準から試験の仕組み・合格率・勉強法・合格後の手続きまでを詳しく解説しました。重要なポイントを整理します。

  • 学科試験の合格基準は100点満点中60点以上(50問中30問正解)。マークシート方式で時間は120分。
  • 技能試験は点数ではなく「欠陥ゼロ」が合格条件。重大欠陥が1か所でも即不合格。
  • 技能試験は13の候補問題が事前公表されるため、全問の練習が可能。試験時間は40分。
  • 学科試験の合格率は60%前後、技能試験は70%前後で安定して推移している。
  • 必要な勉強時間は合計100〜150時間。学科は過去問中心、技能は反復練習が鍵。
  • 合格後は都道府県窓口に免状申請が必要。免状がなければ電気工事はできない。
  • 電気工事士の将来性は高く、再エネ・EV普及などにより需要が拡大している。

第二種電気工事士は、適切な準備をすれば十分に合格を狙える試験です。合格基準の仕組みをしっかり理解した上で、効率的な学習計画を立てて挑んでください。

資格取得に向けて一歩踏み出したあなたを、私も応援しています。ぜひ合格を勝ち取って、電気工事士としての新たなキャリアを歩んでください。

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